過ぎ去りし王国
しかし、今こそ変わる時だとオーロラは思った。コホン、と小さく咳払いをすると二人は振り向く。

「私は……この国を今すぐに開国すべきだと思います」

「オーロラ!お前は口を出すな!」

マッティアが怒鳴るが、オーロラは気にせずに手紙を取り出した。

「私は、他国の方々と手紙のやり取りを実はしていました。もしも開国することがなければ侵略してもいいと書きました」

「貴様…!伝統を汚しおって!」

マッティアがオーロラに掴みかかろうとするのを、ロレンツォが「おやめください!」と必死で止める。オーロラは涼しげな顔で外を見つめた。

「そんなくだらない伝統で、大切な国民が幸せになれなくてどうするのです?みんな怒りをお持ちのようですよ」

オーロラが指差す方を見れば、城を多くの国民が取り囲んでいる。みんなが口々に開国を懇願し始めた。

「どうします?国王陛下?」

オーロラが妖艶な笑みを浮かべながら訊ねる。マッティアの顔は真っ青だ。

「……私は……この国を……」
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