拝啓 元カレ上司サマ
そうこうしているうちに、麗香の実家にまで田上との見合い話が持ちかけられた。
麗香の父母はこれ以上ない良縁だと、とても喜んでいる。
両親が舞い上がる一方で、麗香はあたふたするばかり。
そこで親友沙穂の出番である。
「何を迷っているの?思いきって運命に身を委ねなさい」
まるで牧師か僧侶のように麗香を諭す沙穂に、それも一理あると考え直す。
もう一度会うのも良いかも知れないと、営業部長にお小言をもらってシュンとする田上を思い出して、フフっと笑った。