拝啓 元カレ上司サマ

二次会もお開きとなって、麗香と宗也はそのまま引き続き、そのホテルのスイートルームに宿泊することになっている。

二人手を繋いでエレベーターから降りて、部屋のドアを開けると、そこは薔薇の花で埋め尽くされていた。

芳しい薔薇の香りに満たされたその部屋で、わーっと思わず叫んだ麗香を、宗也は愛しそうに彼女を抱き寄せる。

「記念すべき夜に、我が妻に捧げよう」

宗也は跪いて、歯が浮くような台詞を真面目に囁いた。

そして、真っ赤な薔薇の花束と箱を1つ差し出した。






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