拝啓 元カレ上司サマ

家族


術後一年半程のある土曜日の夕方、すこぶる調子の良い宗也は、麗香と子供達を連れて海岸線を歩いていた。

自宅近くのこの場所は、独身時代から冷静になりたい時によく訪れていたところで、かつて、付き合っていた彼女にフラれて落ち込んだ時や、仕事で失敗した時などに砂浜に座って小一時間海を眺め、色々なことを吹っ切って帰って行ったものだった。

職場復帰して一年、仕事も順調になって、何となく久々に家族で散歩がてらやって来たのだが、長男は随分としっかり“お兄ちゃん”をしてくれているのが分かる。




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