拝啓 元カレ上司サマ
田上家の長男の悠一郎は、愛くるしい幼児の時期を少し前に終えて、まだ小学生ながらも凛々しい表情を見せるようになってきた。
小さいけれどもこの王子様は、田上の長男として必要な帝王学を学び始めている。
宗也に一番似ているこの子に、一族中が期待しているのだ。
そして、次男の幸二郎と長女の薫子ははまだまだ甘えたい盛りで、父親が病気だということを理解しているらしく、その分、母親の麗香にまとわりついてくるようになった。
しかし、麗香は子供達と夫の世話に忙しく、なかなか遊んでやることまでは手が回らない。
すると、そんな状況を察してか、悠一郎が弟妹の遊び相手を買って出てくれることが多くなった。