拝啓 元カレ上司サマ
「岡谷さんごめんなさいね、お疲れでしょう?」
オーナー夫婦が男の子達を、リビングに敷かれた子供用の布団に寝かしていく。
目を細めて子供達の頭を撫でる夫婦に、子供はいない。
そんなこともあって、近所に住む、オーナーの姪っ子の麗香をことさら可愛がり、彼女の成長を見守ってきたのだ。
麗香が地元ではなくて、他の地域の大学を受験すると聞いた時には、この夫婦も寂しい思いをしたようだ。
そして、その可愛いがっていた姪っ子が、かつて傷心の日々を送っていた時には、心を配っていたに違いない。