拝啓 元カレ上司サマ

「麗香の顔色が悪いのは、俺のせいだよな…」

仕事中であるのに、麗香が早く業務報告に来ないかなと、時計を気にしてしまう。

寄りを戻す件については、取り付く島もないあの態度の意味も分かっているけれども、最後に謝罪だけはしたかった。

自己満足だと言われても、麗香の目を見て謝りたかったのだ。

もうそれも叶わない。

これからは、麗香の上司として見守るしかないようだ。

公務員を辞めてまで、転職してきたことに後悔はない。

しかし、こんなに近くにいるのに、触れることも笑い合うことも出来ない二人の微妙な距離を歯痒く思った…まあ、自業自得とも言うが。



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