今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -


反射的に目をそらしてしまう。


だけど、見つかってしまったからには逃げることもできなくて。



『すみません。のぞくつもりはなかったんです』

そう謝るつもりで、顔を上げた先──。



相手と目が合った瞬間、その場に声もなく固まった。



……え?

瞬きを繰り返す。


どうして。
なんで。
この人が。


ふらりと目眩がした。

相手も同じ表情をしていた。



冷静になろうと胸に手を当てて、呼吸を整えてみる。


響平のお母さんの治療費を払っているのは──この人。


だから、この場にいても、おかしくはないはずだけど。

紛れもなく、あの日、

響平に銃を向けた本人──。



頭が混乱して、同時に恐怖も襲ってきた。



「──響平の、お父さん……なんですか」

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