Spring -盗撮-
“ガチャガチャ”
「・・・・・・・・・・。」
扉の前に立ちドアノブへ手を伸ばすが、
右手が奥に進むことも、
手前に引かれることも無かった。
鍵は1つしか渡されていない。
ここは開かずの扉といったところか・・?
“ガチャリ”
「!?」
「あれ?何で鍵空いて・・あ!!!」
“準備室”に入ることを諦め、
再び部屋を見渡そうとした時、
出入り口の扉が開いた。
そこから・・・俺と同い年・・
いや少し歳上か?
お腹がポッコリと出ている女性が入ってきた。
「もしかしてあなたが神野くん?」
「はい。」
「お待ちしてましたよ~!!」
お待ちしていたのなら何故どこかに出掛けていたんだ・・
と言いたくなったが、
まだ初対面なので心に留める。
女性は両手一杯に持っていたエコバッグを一旦机に置くと、
部屋の片隅に置かれていたパイプ椅子を広げる。