Love Eater
実際、この男に見つめられると落ち着かないのだ。
隠し事なんて出来ない様な気迫。
攻撃的に脅す様なそれでないのにどうしてかソワソワと落ち着かない。
まるで隠してた悪さを問い詰められる子供の心境と言うのか。
どんな隠し事も隠す事に非を覚えてつい打ち明けさせられてしまうのだ。
だから、ソルトは百夜には極力助けを求めたくなかったのだが。
「……匂いだよ」
「匂い?匂いって、この部屋に漂ってる君の物以外のこの匂いの事かな?」
「っ…わかってんじゃねえか!」
「僕だからだよ。普通の人間なら気付く事のない匂いだねコレ。…ふむ。どれ…こっちかな、」
「あっ、ちょっ…」
スンッとその匂いを捉えると、百夜は元を探るようにゆらりと紫煙の如く部屋を横切っていく。
背後で気まずそうに待ったをかけたソルトの事など御構い無し。
時折立ち止まり匂いを捉えてまた動き出して、そうして立ち止まり手を伸ばしたのはクローゼットの扉。
それを躊躇いなく開けば綺麗に整頓された衣服やそれを収納した衣装ケースや。
その一つ、引き出し式の収納ケースに手を伸ばすとおもむろに引き出して中を探り始めるのだ。