Love Eater



バツが悪そうな照れ隠しの苦悶顔も、今は都合よく興奮状態がカバーしてくれる。

それでも百夜の双眸にはどうやらしっかりとソルトの羞恥は明確らしく、珍しい物を見たとばかりにほくそ笑むのだ。

「惚れた女の私物で興奮するとか若いねえ」

「いや、目の前で生脱ぎしたパンツを顔面に落とされてみろよ。流石に動揺して自制心も突き崩されるわ」

「わおっ、だいたーん。で?リッくんはまんまと動揺して、今も尚パンツの残り香に興奮してると」

「言い方っ、どんな変態だよ俺っ!匂いって言ってもそういうんじゃねえだろ!コレはっ、」

「魔女特有の匂いだもんねえ」

「……分かってんじゃねえか」

「それに気づいて反応するのも僕たちが魔混じりなんだって証拠なんだけどね。魔物にとって魔女は異様に甘く欲を擽る香りがする生き物だから」

魔物にとって人間は然程の興味対象ではない。

人間が当たり前に同じ種族に安堵し求める様に、魔族は魔族を求めるものであるしプライドもある。

どうしたって人間と言う対象はあちらからすれば劣る生き物。

自分の力と血を誇るタイプの魔族からすれば人間の血を混ぜるなど言語道断。

だけども魔女ばかりは少々違い、魔女が孕む魔族の子は少なからず親の力を凌駕する。

それ故に魔女と言う存在だけは魔族の間では貴重種で価値の高いモノとされているのだ。


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