part-time lover


19時半、同僚からの飲み会へのお誘いを断って地下鉄の駅へと向かう。

日中は残暑がまだ厳しけど、夜は随分と秋らしい風が吹いていた。

駅のトイレで化粧を直し、ピンク色のリップとチークをつけて少し若作り。
アイラインは濃いめにした。

うちの会社が私服通勤でよかったなとばかなことを考えながら、帰宅ラッシュの電車に脚を踏み入れる。

肩に当たる人のカバンや、湿度の高い車内もなぜか今日はあまり不快に感じない。

これから訪れる快感を考えたら少し心が広くなる自分のことを心の中で笑った。


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