part-time lover


「名前、なんて呼べばいいですか?」


「透子なので、お好きに呼んでください。
友達には呼び捨てで呼ばれることが多いですけど」

「呼び捨てはちょっとハードルが高いから透子ちゃんで。
自分は雅也なので、透子ちゃんも適当に呼んで」

本名で自己紹介しあうというのが新鮮だった。
名前なんて知らなくても親しくなれることを知った今、呼び方なんてどうでもいいなと内心思っていることは顔には出さないようにした。

「じゃあ雅也くんね。
なんかこういうふうに紹介される機会っていままでなかったから、結構緊張するなー」

思わずお酒を飲むペースが速くなる。

「ほんと?全然そんな風に見えないけど。
落ち着いた印象の子って聞いてたけど、ほんとその通りだね。
俺の方が緊張してる気がするけど」

落ち着いた印象か。そんな自覚は全くなかったけど。
ケイさんに言われた達観してるという表現の方がなんだかしっくりくる気がした。


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