part-time lover
クローゼットからネイビーの開襟シャツとストライプのロングスカートを引っ張り出して、マリン仕様のファッションに着替えようとしたタイミングでケータイが再度震えた。
雅也くんの返信かと思い、ケータイを手に取ると、送り主はケイさんだった。
予想外のメッセージに少し動揺する。
『お久しぶり。今日は予定あるかな?
休日出勤中で、いつもより早く上がれそうなんだけど、19時くらいからよければビールでも飲みに行きませんか?』
「このタイミングか〜」
思わず声に出てしまった。
思えば数週間ぶりの連絡で、いつもなら喜んで受け入れていたはずなのに。
なんとなく気まずくて、返事をせずに身支度にもどった。
土曜に連絡が来るなんて初めてだな。
いつもは家族サービスの週末だから、滅多にこんなことはないのに残念。
気にしないようにしようと思っても、無意識に頭の片隅にケイさんのことが浮かんできてしまう。
頭の中の邪念を掻き消すかのようにBGMの音量を少しだけ上げて、意識的に先ほどまでのデート前のワクワクした気持ちに切り替える。
お気に入りの服と香水を身に纏って少し気分が高まってきたからきっと大丈夫。