稲荷と神の縁結び
「そういうことじゃなくて、だな」

またさっきのように、頭を引っ掻いている清貴さん。

あぁ、これは……あれなのか……。
また親子闘争の一環なのか?


「……清貴さん、本当に清様のこと嫌いってわけじゃないんですよね?」

ここまで仲が悪いとなると…うちのグループの存続すら危うい気がするのだが。

「何度も言うが嫌いではないし、経営の部分では尊敬するべき所はいくらでもある」

本当に?と怪しむ目線を送ると「何かを勘違いしてるようだな」と呆れたようなため息をついている。


「まぁ、暫くは……そう思っておいてくれ」

納得いかないなぁと、消化不良であるが‐そんな私を差し置いて、清貴さんは茶碗にご飯をよそい始めた。

「やりますよ」

「やるからさっさと他の支度をしてくれ。腹へった」

「……はい」

「あと今日のサンカラーの話も聞かせてくれ」

「…はい」

なんだかもう触れるな空気が漂うし、どっちにしろもう過去のことなのでほじくり返しても仕方がないな。
もうさっさと諦めて‐気持ちを切り替えていこう。そうしよう。


でも彩馨のバイヤーか…。
少し惜しいことをしたのかも知れないな……なんてそんなことも、ほんの少しだけど思っていたりもした。
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