稲荷と神の縁結び
「はい……私ですが…………」

恐る恐る手を上げて、その場に立つ。
他のメンバーも怯えたような目線を私に送る。


「あなたとお話がしたいの。この後予定はあるかしら?」

「……いえ、何もありませんが」

「今日は早番かしら?」

「はい………十八時半には終了する予定でございます……」

「じゃあ、十九時。この書かれた住所の所で待っているわ。お食事をしましょう。いいかしら?」

一応疑問形で聞かれてはいるが‐絶対に有無を言わせない空気。
断ると確実に………首が飛ぶ。


「かしこまりました……」

そして踵を翻し、足音を響かせて去っていく滋子様。
滋子様が見えなくなった瞬間‐「ちょっとこはるちゃん!」と皆が集ってきた。

「何かした?!こはるちゃん」

「いえ全く……何も思い当たりませんがっ!!」

「清社長と何かあったとか?!」

「本っ当ーに何にも思い当たりません!!」


もはや半泣き状態で、その場にへたりこむ私。
そんな私を、皆は心配そうに見つめていた。
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