偽装夫婦~御曹司のかりそめ妻への独占欲が止まらない~
「いや、ですから……」
まだ話をしている川久保さんの言葉を遮って、おばあさまが話を無理矢理終わらせた。
「ああ、疲れたわ。秋江さん後片づけを頼みましたよ。わたしは休みますから」
おばあさまはゆっくり立ち上がるとベッドの方へ歩いて行った。
わたしはこの状況にどうしていいのかわからず、川久保さんを見つめる。彼もまた困った顔をしてこちらを見ていた。
「あの……少しお話しできますか?」
もう帰ろうと思っていたけれど、こんなに困った様子の川久保さんを見捨てることもできず、わたしは彼の言葉に「はい」とうなずいた。
おばあさまの部屋から出たわたしは、玄関の近くにある応接室へと通された。
「すみません、お引き止めして。そちらにかけてください」
川久保さんに促されるまま、ソファに腰掛けた。高級だろうソファは、スプリングが効いていて勢いよく座ると体制をくずしてしまいそうだ。
わたしが座ったのを確認した川久保さんが、横に置いてある一人掛けのソファに座ると、ほどなくして部屋にノックの音が響いた。