冷やし中華が始まる頃には
笹崎が笑いながら建物に入っていく。
ならも連れられるように入った。
中はところどころ明かりが漏れていた。

「俺のところは誰もいないはず。」

そう言って廊下を進んでいくと、「特別支援教育」と書かれた扉があった。
中は暗く、案の定誰もいない。

「ほらね、やっぱり。」

研究室の窓からも、さきほど外で見た街の夜景が一望できた。
そこで初めて椅子に腰をかけた。
その時に自然と2人の手が離れる。

あ、終わった。

ふとならは思った。

「あ、繋ぐ?」

ならが思ったことを察したのか、笹崎がいたずらな笑みで手を出してきた。

「いいよ、もう。」

ならは笑って机に置いたコンビニの袋からビールと焼き鳥を取り出す。
そして乾杯しようとしたタイミングで花火が打ち上がった。

「すごい。きれい。」

ならが思わず呟くと、ふいに隣から笹崎の顔が近づく。
そして次の瞬間、2人の唇が重なった。

「俺と付き合ってください。」

花火がまた打ち上がる。

「好き。付き合って。」

ならが呆然としていると、笹崎が続けた。
ならは言葉が出ない。
どうしよう。
私は・・・?

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