神様辞めます!~転生女神は平凡を望む~

一週間後、私は真っ白な婚礼衣装に様々な装花を施して、華やかに彩られて控え室で静かに待っていた。

そこに音もなく現れたのは、人間界にあるまじき美貌を持つ色男。
前世の兄で太陽神アポロン。

「あぁ、綺麗だねぇ。でも、これはもう少し足せるよ」
そんな一言をいうなり、彼が外を振り返ればそこには七色の虹が大聖堂にアーチをかけている。

「人間になった小娘一人にお力を使いすぎではありませんか?」
思わず言えば、兄はちょっと目を見開いたあとに、鼻を鳴らして答える。

「前回の結婚の時にはなにも出来なかったからね。兄心だよ」

あまり、素直とは言えない態度ながら今回の結婚を祝いたいという気持ちは伝わってきた。

「ありがとう。私、今回は幸せだと胸を張って言えるわ」

私が笑顔で言い切ったのを見ると、兄は柔らかく微笑んで私の耳に飾りをつける。
それはシンプルな金の輪の耳飾り。

「ここにはこれなかったけれど、これはアテナからだよ。幸せになれって伝言、ちゃんと伝えたからね」

そう言うと、アポロンは現れた時と同じように音もなく消えた。

そうして、準備が整うと大聖堂の扉の前に父と並んで立つ。

「お父様、今までありがとうございました。私なりに王子を支えて頑張ります」

「ペセルなら大丈夫だ。仲良く、支え合いなさい」

話が済んだ頃、大聖堂の扉が開かれて祭壇までの道のりを父にエスコートされて進んだ

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