キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 あいつが来るからって、楓が来るから行きたかったってことだよね。ということは、もしかして……。

「なーんだ、楓とそんなに友達になりたかったなら、言ってくれればよかったのに」

 私、全力で宙斗くんの友達作りに協力したのにな。ひとりでいるほうが好きなのかと思ってたから、勘違いしていたみたいだ。

「……は?」

 でも、宙斗くんは“なに言ってんだ、お前”と言いたげな顔で、私の手首を掴んだまま固まっている。

「え?」

 その顔で、私たちの会話にもズレがあることに気づいた。

 おかしいな、そういうことじゃなかったのかな?

 ポカンとしていると、宙斗くんは眉をピクピク震わせた。これはかなり、おかんむりのようだ。

「お前な、どこをどう解釈したら、そんなとんちんかんな答えになるんだよ」

 地を這うような低い声、見たものを凍りつかせる瞳。ライオンに睨まれているみたいで、いますぐここから逃げ出したい衝動に駆られたが、ともかく私は平謝りに徹することにする。

「す、すみません」

「つか、名前で呼び合ったり、抱き着いたり、仲よすぎじゃないか?」

「すみま……」

 ペコペコ頭を下げていると、ふと心に引っかかる彼の言葉。

 仲よすぎって、私と楓のこと? え、もしかして宙斗くん……嫉妬してる?

「ええっ!」

    

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