キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 ここは、もっと踏み込んで感想を聞いてみようかな。

 心臓をバクバクさせて、大きく息を吸い込む。拳をグッと握って、私は宙斗くんのほうへ身を乗り出した。

「あの、この水着どうかな!?」

 思い切って言うと、宙斗くんの肩がビクリと震えた。

 まさか、女嫌いの禁断症状!? それとも、あまりにも私の水着が見苦しいから気分を悪くしたとか?

 沈黙に耐えきれなくなった私は、いったん彼から距離を取ろうと立ち上がる。

「あの、飲み物を買いに行ったっきり楓が帰ってこないから、迎えに行ってく――」

「行くな」

 強く手首を掴まれて、私は言いかけた言葉も呼吸も止めてしまった。

 今、行くなって言った? しかも宙斗くん、私に触って大丈夫なの?

 頭の中にはたくさんの疑問と、衝撃が行き交っている。目を白黒させている私をまっすぐに見上げて、宙斗くんはきっぱりと言う。

「あいつのところには行くな」

「え? あいつって楓のこと?」

「あぁ、今日だってあいつが来るっていうから、俺は参加したんだ」

 待って、どういうこと? そういえば海に行くって言ったとき、即答してくれたのには驚いた。宙斗くんはインドア派っぽいし、女の私と休日まで一緒にいるのは嫌だって言うと思ってたんだ。

    

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