キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
「なんでだよ、お前の親友なら俺には関係ないだろ」

「なに言ってるの! 私の好きな人に大切な親友を紹介するのはあたりまえでしょう?」

 ――って、どさくさに紛れて好きって言っちゃった。うわっ、恥ずかしいっ。

 顔に集まる熱を、私は空いた方の手でパタパタと扇ぐ。

「そういうもん、なのか?」

「そういうものなの。宙斗くんにも、私の大事な人たちを好きになってほしい。そうやって、誰かと繋がっていくんだよ」

 でも、宙斗くんは……。俺はひとりで構わないって、言うんだろうな。

 そう思っていた私は、次の言葉に耳を疑った。

「……わかった」

 たったそれだけ。でも、そのひと言がうれしかった。宙斗くんが私の言葉を受け入れてくれた気がしたから。

「おう、来たかカップル」

「カップル、ねぇ」

 軽く手を上げる楓に、意味深な言い方をする美代。私たちは先に席に着いているふたりの前に一緒に座った。

「麻生に、宮原……だな」

 若干、美代の名前を呼ぶときだけ、ためらったような気がするけど、ちゃんと話してくれてよかった。女の子嫌いで大変だと思うけど頑張れ、宙斗くん。

「楓でいいって」

「私も美代でいいわよ」

 ふたりも宙斗くんの無表情に動じず、フランクだ。

「わかった。楓、み……宮原でいいか?」

    

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