キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
「マジ? 行く行く! 飛鳥ももちろん行くよな?」

 楓に話しかけられて、パッと顔を上げる。

 もちろん行くって、ホテルにってことだよね。でもこれ、美代のデートを邪魔することにならない? それはさすがに申し訳ないというか、気まずい。

「いいの? 私たちがお邪魔して……」

「えぇ、あの人はそういう細かいことは気にしないから。あ、宙斗くんも誘ったらどう?」

「え! なにそれ、絶対行くに決まってるよーっ」

 それは、なんて魅力的なお誘いだろう。私はテンションが上がって、すぐさまスマートフォンを取り出す。申し訳ないと言っていた過去の自分は、もはやいない。

「土日、泊りで一緒に海に行きませんか……っと」

 私はニコニコしながら文字を打って、メッセージを送る。しばらくして、【は? ふたりで?】と来たので、美代と楓がいることを伝えると、彼にしては珍しく【行く】と即決してくれた。

「目をキラキラさせちゃって、俺らだけじゃ物足りないってか?」

「宙斗くんは特別なの!」

 不満げな楓に、私はスマホを胸に抱きしめながら答える。

 好きな人と休日も一緒にいられるなんて幸せ。なにを着ていこう、水着も新調しなきゃだよね。

 私の思考はすでに、お泊りの日にトリップしていた。

    

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