偽のモテ期にご注意を
『馬鹿だわ・・・今なら恋を止めれば大丈夫だなんて思ってた』
とぼとぼと歩いているが、何処に向っているのか、どうやって歩いているのかも分からない。
視界はまるで水の中のように、ゆらゆらと揺らめいている。
それが泣いているからだと気付けないまま、あても無く歩いていると、遂に雨が降り出して来た。
周りが傘をさしている事にも自分が濡れている事にも気付かず、フラフラと歩き続ける。
♪♪♪
携帯が鳴っている事に気付きノロノロと鞄を漁る。
緩慢な動作では中々電話に出る事が出来なかったが、電話は切れる事無く鳴り続けていた。
誰からの電話か確認もせずに出ると、松本の声が聞こえて来た。
「よう。休日を楽しんでるか?」
「・・・」
「どうした?大丈夫か」
「・・だい・・じょ・ぶ・・じゃ・・な・い」
雨の音にかき消されそうな声で弱音を吐いてしまった。