偽のモテ期にご注意を
「凄いですね。うちで炊き立てのご飯が食べられるとは思いませんでした。」
結局あの後も、リビングに戻らなかった置鮎は、親子丼が出来るのを楽しそうに眺めていた。
ご飯が炊き上がるのを待つ間、行儀が悪いのだが、キッチンで鯖トマトを食べながら、ワインを飲んでしまった。
親子丼をリクエストしたにも係わらず、丼が無かったので、結局平皿に盛り付ける。
「ホントね。私も、こんなに何も無い家で良く親子丼が作れたと感心してるわ」
お互いに顔を見合わせて笑いあってから、遅い夕食が始まった。
「美味しい」
「確かに、鍋で炊いた適当ご飯とは思えませんね」
色々心配では有ったが、お腹が空いていたお陰か親子丼は思いのほか美味しかった。
洗い物をしている間に、お風呂に入って貰ったが、洗い物をした後は所在が無くなってしまった。
「やっぱり・・帰ろうかな」
そう思いたち、鞄を取ろうとすると、置いていた筈の鞄が無くなっていた。