偽のモテ期にご注意を

「おはようございます。圭奈」

朝ごはんを作っていると、何時ものように声をかけられる。

「おはよう。もう直ぐ出来るから」

先ほどの考え事の所為で、顔を見る事が出来ず、そっと視線を外して会話をする。

啄ばむようなキスを一つしてから、名残惜しそうにリビングに向うその背中をそっと見つめる。

『そろそろ潮時かも』

このまま続けていると、逢える喜びと、終わる辛さを同時に抱えて苦悩するだろう。

そうすれば、仕事にまで支障が出るかもしれないと不安が過ぎる。

今なら恋だけで済むだろが、これ以上進めばどうなるか分からない。

恋も仕事も同時に失うわけには行かない。

『琥珀で見つめているだけで良かったのに・・欲が出てしまったわ』

ため息を付きながら、朝食を乗せたトレイを持ってリビングに向う。
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