19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
綺麗と言ったのは夕日のことだった。

良かった、気付かれてない。

って、私、もう死ぬのに何考えてるんだろう。


「ここ、昔は結構賑わってたんだって。けどすぐに飽きられておしゃれなリゾート造った棚路島のほうにお客流れちゃったって」
「…隣の島だよね、そうなんだ。だから海沿いに旅館が多いんだね」
「もう、どこもやってないけどね」
「…ねえ、ピアス、もう暗くなったら探せないよ?」


茶化したみたいに笑って話しているのに、どこか悲しそうな目で、私はまたわざと話をそらした。


「あー…。しゃぁねえ。また明日にすっか。祈梨、また手伝ってよ」
「え」
「学校終わったら、ここ集合な!てか、送ってくよ」
「い、いいよ、自転車だし、一人で大丈夫」
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