19時、海風が頬を撫ぜる丘でさよならを。
「大丈夫大丈夫。もう、なんか良くなったから。純がさっきみたいに言ってくれて、本当にもう大丈夫になった。だからありがとう」
「祈梨…」
「ん?」


なんだか恥ずかしくなって、顔を見れずにお礼を言った私の名前を、純が呼んだ。

顔を上げたら、とても優しい目がそこにあった。


「どうしてもキツかったら、北中に転校して来いよ。家から遠いかもしんねーけど、俺が毎朝迎え行くから」
「あははっ。そうだね、それがいいかも。ありが……っ……」


熱くなった胸からこみ上げるものを抑えていたのに、その言葉で感情が一気に押し寄せてきた。


「あっ、ごめん、泣くなって、ほら」
「ごめ………でも、だって………」


涙が溢れて、止まらなくて、純をとても困らせたと思う。

その時だった。
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