ただずっと、君が好き
8.文化祭と告白
三日後の昼休み、沙奈ちゃんと弁当を食べていたら、メッセージを受信した音がした。
ポケットからスマホを取り出し、画面を開く。


『土日に文化祭がある。よかったら』


天形からだった。
そのメッセージと、時間とかプログラムが記された画像が送られてくる。


「誰から?」


私がスマホの画面を見つめて固まっていたからか、沙奈ちゃんは不思議そうに聞いてきた。


「天形。この土日に文化祭があるから来ないかって」


沙奈ちゃんに画面を見せると、スマホを取られてしまった。
行儀悪いのに、沙奈ちゃんは箸をくわえたまま、内容を読む。


「これ、私も行っていいのかな?」


箸をきちんと手に持ち、確認してきた沙奈ちゃんの目が輝いている。


そういえば、沙奈ちゃんは体育祭より文化祭を楽しみにしてたっけ。
こうなるのも無理ないか。


「一般公開するみたいだし、いいんじゃないかな。……行くの?」


正直、天形の好きな子がいるからあまり乗り気じゃない。
だけど、沙奈ちゃんがここまで目で訴えてきたら、断りにくい。


「もちろん!やった、文化祭!」


喜ぶ沙奈ちゃんを見ながら、簡単に天形に返事を送る。


『友達と行くね』


既読がついたけど、天形は返信してこなかった。


これ以上メッセージのやり取りはないと思うけど、もしかしたらと思って、スマホを机の上に置く。


「夏希とかも誘って、みんなで行こう!」
「とかって……ほかに誰誘うの?」


なんて、意地の悪いことを聞いたかもしれない。


「……矢野?」


そんな気はしてた。
自分で言うことなのかわからないけど、きっとよくない雰囲気になると思う。


「……冗談です。夏希と、三人で行こう」


沙奈ちゃんは私が思ってることを察してくれたのか、訂正してくれた。


盛り下げるようなことをして申しわけなく思うけど、聖を誘って、天形たちの文化祭の空気を悪くするようなことはしたくなかった。
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