ただずっと、君が好き
「……うん、また明日」


聖は気を使ってくれたのか、先に帰っていった。
聖たちが離れていくと、次第に笑いが収まってきた。


天形と二人きりになり、無言の時間が流れる。
少しずつ緊張感が出てきた。


「……大学、どう?」


私の緊張がうつったか、私の様子を伺うように聞いてきた。


「その質問がどうなの?まったく、今日の同窓会も参加しないでさー。その格好、みんなに見せてあげたらよかったのに。絶対盛り上がったよ」


そう言いながら、天形に近付いていく。
帰る方向に天形がいるから、必然的にそうなってるだけかもしれないけど。


天形とは、ずっと友達のようで恋人のような関係を続けていた。
こうして会いに来たということは、きっとあの日の約束を果たしに来たんだろう。


だから、少し酔ったフリをして緊張を誤魔化す。


「……ひなた」


私の冗談なんて通じなくて、天形は初めて私の名前を呼んでくれた。
天形の横を通り過ぎてやろうと思っていたのに、足が止まった。


目の前の天形の顔は、さっきよりもはっきり見える。
夜なのに、顔が赤くなってるのがわかる。


「本当に長い間待たせて、ごめん」


天形は私を抱きしめた。
あの日とは全く違って、流れるように天形の腕の中に収まってしまった。


「俺が絶対幸せにするから、一緒に暮らそう」


てっきり付き合おう、と言われると思っていたから、返事するまで間が空いた。


「……もちろん」


断る理由なんて、なかった。


そして約束通り、天形はそっと私の唇に触れた。





それから二年が経ち、私は大学を卒業した。
あの日から卒業するまで私たちは同棲をして、私の誕生日に籍を入れた。


結婚の報告をすると、夏希も、沙奈も、近江君も、聖も、みんな祝福してくれた。


あの頃は、自分の片想いがこんな結末になるなんて、思ってもみなかった。


これは、傷つき、傷つけ、迷い、間違えた私たちの青春時代の話。


晃との結婚生活はまた別のお話。
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