他人と何度も重ねたくちびるで、愛して
「ありがとう、サヨナラ」
悲しくてぎこちない、“サヨナラ”を表に出す。
靴のかかとを踏んずけて、水たまりをバシャバシャならしながら、地面を蹴ってその場から逃げる。
水たまりにうつる、曇り空が……憎い。
雨が降っていないから、うつるモヤモヤを鈍らせるものはなくて。
だから、私自身で、壊す。私自身のモヤモヤは、私自身で。
「ダイッキライだーっ!」
人がたくさん通る道の、ド真ん中。叫んで、立ち止まって、泣いた。
それでも、ダイキライがぎこちないことが、悲しい。
「だいすき、だったのに……」
ほんのりとあたたかい、言い慣れただいすきを、心から排除するように……最後に呟いて、私は空を見上げた。
END.


