いつか君を振り向かせられたなら
高2、6月。梅雨のジメジメとした時期で嫌になるが朝のこの電車に乗っている時間は好きだ






6号車、3番ドアで進行方向右側の一番左






そこが私の定位置







始発の駅だから必ず座れる






イヤホンをつけ大好きな歌手の曲を聴きながらしばらく電車に乗る






1・2・3・4






私の駅から4つ目の駅






傘を閉じ肩にかかった水滴を振り払いながら乗ってくるのが








矢野草太







黒縁メガネで少し癖のある黒髪、シャツは第1ボタンまで閉じてネクタイは緩めず一切着崩さない









いわゆる真面目というやつだが顔立ちは真面目な格好が似合わないほど整って綺麗な顔をしている






本人は黒縁メガネで顔を隠しているつもりであろうが全く隠せていない







休み時間彼が廊下に出れば女子が遠くで騒ぐ







遠くでというのは矢野がうるさいのが嫌いだからだ






騒ぎが遠くで行われるためその騒ぎに矢野は気づかない


< 2 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop