いつか君を振り向かせられたなら
「だってそもそも響も僕を誘おうとしたし僕も響を誘おうとした。それなら僕の班と響の班で組んだ方が妥当じゃないか」






「まぁそう・・・」




「というより本人の前で争うのは酷じゃないか?少し場所を変えて話そう」




うなずいた矢野を見て悠斗が教室から出て行った




矢野は私の腕から手を放して




「ごめん」




一言そう言って悠斗に続いて出て行ってしまった




悠斗と矢野が教室からいなくなったのを見届けると一気に騒がしさがもどった




そして私の周りにクラスの人が集まってくる




「矢野君とはどういう関係なの!?」




「わけがわからない・・・まさか矢野君と付き合ってるとかないよね!?」




今にも泣きそうな声で聞いてくる子もいる




でも私は何にもわからない




私の頭の中も彼女たちと同じようにぐっしゃぐしゃ




でも私が何かを言わない限りこの質問攻めは止まらないのだろう




なにか言わなきゃ言わなきゃ言わなきゃ・・・




でも何もわかっていない私には何の言葉も発することができない




止まらない質問攻め




耐えきれなくなって囲んでいた人たちを押しのけて教室から飛び出した




教室から聞こえる声が余計に大きくなったのが分かったが耳をふさいで一切振り向かずに廊下を走った
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