さよなら、センセイ

ヒロの切実な願いが恵の胸を射る。
一番大好きな人。
離れられるはずもなかった…!


「私がヒロを守ろうと思ったの。
離れることで守れるって思ったの。

バカだね、私」

恵の頬を涙が伝う。


「ほんと、メグは、馬鹿だ。
この俺から離れる事なんて出来ないくせに」

そう言いながら、ヒロは恵を一層強く抱きしめた。

「わかってるから、メグが教師でありたいという気持ち。
教師と生徒が付き合うことに、世間がどう思うかも、わかってる。

だから、二人で頑張ろ?たった1年だよ。

俺はメグが先生として働く姿を見れるし
メグは俺の高校生活を見れるし
いっそ、秘密を楽しもう」


「ヒロ…」

恵は腕を回してヒロに抱きついた。
この温もりが優しさが無い所では生きていけない。それが痛いほどわかった。

「ヒロ…愛してる。
あなたが居ないと、私もダメだった。
頑なに意地を張って大人ぶっても、ダメだった。

ごめんなさい。
これからも、一緒にいて。
ずっとそばにいて」


縋るように抱きつく恵の背を、ヒロは優しくさする。

「当たり前だ。
大丈夫。嘘のヘタなメグのかわりに、俺がフォローしてあげるから。
俺を頼って。


メグ…
学校ではこれきり教師と生徒のラインを超えたりしないから」

恵は、ヒロの言いたいことがわかって、うなづく。

「…っ!」

密着感が恵の全てを奪う。ヒロのことしか考えられなくなる。二人は見つめ合い、笑顔を交わし、これ以上ないほどに固く抱き合い、二人で共に快楽の頂点に上り詰めた。
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