猫かぶり王子と灰かぶり姫
目線の先にあるは眉間に皺を寄せて怒っているかのような幼馴染、湊。

そんな彼の顔を見ているとなんだかすごく焦りを感じてきて、私は湊の前でなんてことをしてしまったのだろうと、まるで絶望の淵に追いやられたかのように顔を真っ青にさせた。

未だ見つめ合う彼の睨みは続いていて、こちらに訴えかけるように僅かに開いた口からは、音のない声で「なんで」って言われているような気がした。

あくまで口パク。正確にはそんなこと言ってないのかもしれないけれど、やっぱりそう見えてしまえば自然とソレは頭に残るわけで…


私は慌てて頭上にとめられたアメピンを外し、目元を隠した。

もう遅いのかもしれないけれど、私の心の中では「ごめん」という言葉が復唱されていた。

「ちょっと、ホントに大丈夫なの?ごめんね、そんな大事だった?この眼鏡。」

「ううん、大丈夫大丈夫!別に怪我とかしてないし、私、先に教室戻るね…」

「あっ、伊織!」


幸い食堂にいた人たちも何事も無かったかのようにこちらなんて気にもしなくなっていたし、慌てて目を逸らしてしまった湊もきっと許してくれるだろう。

一時のピンチから逃れて安心しきって廊下を歩いていた私は湊に気を取られすぎて最も大事なことを忘れていた。

そう、湊の隣には天宮有り。
彼の視線にも気が付かなかった私はのちのち後悔する。

なんたって、これが彼との面識するきっかけだったのだから。
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