偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
もう一度メニュー表に目を通す。だからといって値段が変わるわけもなく。その中で最も手頃な定食に決めると、おずおずとそこを指さした。
「これにします」
「そんなのでいいのか? 遠慮して決められないなら、俺が決めてやる」
「え? え? そ、そんな、私は……」
私があたふたしている間に、「貸せ」とメニュー表を取り上げられてしまう。真史さんはすぐに店員を呼ぶと、ふたり分の定食といくつかの単品料理を注文した。
店員がこの場から離れると、真史さんは深いため息を漏らす。
「朱里。デートのときの支払いは、男がするものだって決まってるのを知らないのか?」
「そ、そんな決まりありません!」
私が何も知らないと思って、バカにするにも程がある。
「だったら言い方を変える。俺はデートのとき、大切な彼女に一円も支払わせるつもりはない。わかったなら、素直に甘えておけ」
「……はい」
バカにされたわけじゃなかったんだと、少し反省。経験のない、彼女というのもなかなか大変だ。