偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

 小さく丸まったまま五分ほど経ったとき、ポケットの中のスマホが震え、メールの着信が来たことを告げる。まさか真史さん……と慌てて画面を見たけれど、それは市ノ瀬くんからのメール。

 そっか、まだ仕事の途中だったんだ。

『高坂さん、どこにいますか?
体調が悪くなって、どこかで倒れてませんよね?
心配してます、連絡ください!!!』

 ビックリマーク三つって、ちょっと多すぎじゃない? それに『倒れてませんよね?』とか、市ノ瀬くん心配しすぎでしょ。

 とはいえ、市ノ瀬くんに心配かけている張本人は私で。心の中で『ごめん』と謝ると、その場に立ち上がる。

 仕事中なのに何してんのよ、私。こんなのどうってことない、元の自分に戻るだけ。いつもでも落ち込んでるわけにはいかないでしょ!

 半ば強引に、自分にそう言い聞かせると、パンッと両頬を叩いてから会議室を出た。





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