偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~
本当は、こんなことが言いたかったわけじゃない。可愛げのない自分に腹が立つ。もっと素直に可愛い反応ができたらと、後悔ばかりが込み上げる。いたたまれない気持ちになって、スッと真史さんの視線から逃げた。
でもすぐにそれを、元の位置に戻される。両頬をキュッと手で挟まれて、顔を動かすことができない。
「本当に、それでいいのか?」
熱い眼差しが、私の目を見つめる。怖いとすら感じる、まるで炎のような視線に心が惹きつけられて、息がうまくできない。
「……いいのかって、私には何かを言う権利ない、ですし……」
言葉がうまく紡げない。深く呼吸をしてみても、見つめられたままじゃ落ち着くものも落ち着かない。
何をどう伝えればいいのか──頭の中が真っ白になって、今のこの状況ですらわからなくなってしまった。
「今の俺は社長ではない。逢坂真史という、ただの男だ。だから権利とかそんなもの、何も考える必要がない。もっと素直になれ、俺の彼女だという自覚を持て。お前は誰がなんと言おうと、俺の女だ」
「でも……」
「黙って俺の言うことを聞け」
言葉とともに唇が重なった。一瞬そのキスの甘さにほだされそうになって、でもすぐに自分を取り戻す。真史さんの胸を押し体を離すと、手を伸ばして彼の口を押さえた。