偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

「市ノ瀬くん! とり天、その皿に盛って!」

 昨年始めてできた後輩、市ノ瀬友哉に指示を出す。

「はい。タレも準備オッケーです」

 歳はふたつ下の二十四歳。見た目は今どきの軽い感じの男の子だけれど、中身は至って真面目。小さい頃から料理に興味があったらしく、中学生の時ジュニアの料理大会での優勝経験を持つ頼りになる存在。たった二歳しか違わないのに想像力豊かで、斬新なメニューを次から次へと考えつくから、私もうかうかしていられないと刺激をもらっている。

 今日は社長や上役だけじゃなく、各店舗の店長も何人か参加の試食会。

 『雨後春筍』の定番メニューになりうるものを決めるということもあって、現場で働く人の意見はとても重要だ。お客様ニーズもよく知っている彼らだからこそ、新作メニューを食べてもらう意味がある。

 でもね──。



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