偽装結婚ならお断りです!? ~お見合い相手はイジワル社長~

「朱里! 愛子おばさんが来たから、ちょっと降りてきなさい!」

「……は~い」

 今日は残業もそこそこに帰ってはきたけれど、時計を見れば夜の八時を過ぎている。それにしても、こんな時間に愛子さんが来るなんて珍しい。何かあったんだろうか。

 不思議に思いながらもベッドから飛び降りると、急いで部屋を飛び出す。軽快に階段を駆け下り、リビングへと向かった。

「こんばんは、愛子さん」

 ソファに座る伯母の姿を見つけ声を掛ける。隣に座ろうとしたら、愛子さんは突然立ち上がり大きく頭を下げた。

「朱里ちゃん、お願いっ! 伯母さんの顔を立てると思って、明後日の日曜日、お見合いしてちょうだい!!」

「は、はいぃ!?」

 今、なんて言った? お見合いって聞こえたけれど……。

 伯母の言っている言葉の意味が、イマイチうまく理解できない。驚きすぎて、頭の中が真っ白だ。

 ポカンとしたまま力なくソファに腰を下ろすと、リビングテーブルを挟んで前に座る両親を見つめた。



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