夜をこえて朝を想う
正直、驚いた。ものすごく。

梓から電話か掛かってきた時は。

急いで梓の家へ行くと、そこは大パニックの中だった。

「吉良くんと付き合う事になっ、なったの。」

そこから、詳細を聞いた。

うーん…チャラいな…。

だけど…遊びで梓に手を出すほど苦労していないだろう。

遊ぶ相手ではない。梓は。

梓と吉良くんのデートの前に何度か梓に頼まれ、待ち合わせギリギリまで付き添った。

吉良くんが来る少し前に、その場を離れる。

先に梓に気づいた吉良くんが、微笑む。

数秒。梓を見た後に、梓に近づく。

その後も、梓が違う所を見ている時も、俯いている時も、彼は優しく梓を見ていた。

大丈夫…

あれは、恋してる目だよ。梓。

ホッとしたのと、良かったなぁと心底思う気持ち。

少しの、寂しさ。

それに…、ほんの少しの虚しさが加わる。

でも、この淡い虚しさは…胸にしまっておく。

私は、梓の友達だから。

梓が好きだから。

梓が幸せなら、それで良かった。

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