Love-ing(アイエヌジー)
私は、通信制の塾も習ってなかったし、家庭教師もいなかったけれど、勉強はよくできた。
だって勉強は、「一人になれて、独りでもできること」だから。
そのおかげで私は、市立の昭栄(しょうえい)高校に、推薦で入学することができた。
昭栄は、県内で言えば上に近い中レベルの高校だったけれど、猛勉強する必要は、なかった。

高校でこそ友だちを作ろうとか、高校では集団生活になじもうという気持ちなんて、私にはなかった。
高校生活も中学の延長で、孤独な3年間の始まりに過ぎない。だからせめて、高校生活の3年間が、一日も早く終わってくれればいい。それが私の、高校に対する願い、高校生活に対する想いだった。
人生が、劇的に変わるような、希望を抱くような期待なんて、全然してなかった。

それだけに、初日から同じクラスの女子に話しかけられた――それも、すごく好意的に――ことに、私は驚き、戸惑ってしまった。
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