だ き し め て



「高野くん……」

忘れよう、という弱い心が、ぐっと掴まれたような感覚だ。チェーンのネックレスをぎゅっと握りしめる。

てのひらにくい込んで、ちょっぴり痛かった。チェーンで、彼のことを強く想った心がぎゅっと痛かった。



この痛みが、きっと、高野くんがいた証拠なんだ。

クラスメイトは彼を忘れたふりをして、平常な心を保とうと必死で。そんな彼らに、高野くんはいなかったのではないかと疑う自分が辛くて。

連絡先も、住所も、知らない。話すのも図書委員会の仕事のある時だけ。

証拠なんて、なにひとつなかった。



……だけど。

この、チェーンでだきしめられた弱い心の痛みが、きっと、彼との日々を忘れさせない。絶対にあったと、証明させられる。



ねぇ、高野くん、だいすきです。



今度、逢おうね。いつか、逢おうね。

その時はぎゅっと、





だ き し め て



Fin.

< 11 / 11 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:6

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

コンクリートに蝉の抜け殻

総文字数/10,423

恋愛(その他)16ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
コンクリートに蝉の抜け殻。 粘着質に粘着テープ。 そんな感じの、夏休みの話。 . 2022.8.6~7 執筆・公開
表紙を見る 表紙を閉じる
彼氏がわたしを好きすぎる。 2022.4.16 執筆・完結・公開
クールで無口(大嘘)な白井くんは愛が重い

総文字数/41,451

恋愛(ラブコメ)117ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
. 「かわいいですね」 「えっ? 怖い」 「かわいいですね」 「そうなんですね……?」 そうなんですねって、何? 白井くんは、 わたしがかわいいと思っているらしい。 . 白井隼人 Shirai Hayato 宮坂仁乃 Miyasaka Nino . クールで無口なイケメンの パンドラの箱を開いてしまったみたいです。 .

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop