勇太くんしか愛せない
「ねえ、そうやって見てるだけで本当に満足?もっと俺としたいことあるんじゃないの?」

勇太くんが私に寄越している腕が曲がり、その手が私の片方の頬を包んだ。そのまま親指で、私の唇をつーっとなぞる。

「ん……っ」

反射的に声が出てしまい、恥ずかしくなった私は勇太くんから目をそらす。

「目つぶらないで。ちゃんと俺の目を見て」

わかっている。
勇太くんから私は、もう逃げられない。
ゆっくりと勇太くんの目を見つめ返す私。もう頭は正常に働かないし、完全に“ゾーン”に入ってしまった。

「このくらいで……そんなに目とろんとさせなくても」

「だって……勇太くんがそういうふうに触るから」

「そういうふうって?」

「さ、察して……!」


いつもは優しいのに、こういうときになると途端に意地悪になる勇太くん。


「じゃあさー」

「?」

勇太くんが私の両脇に手を入れて抱き起こし、ソファに仰向けに寝転がせてくる。
それがあまりに鮮やかな流れで、こちらとしては一瞬なにが起こったのかわからない。
ぼうっとしていたらいつの間にか、私はなす術もなく、ただただいつも通りの展開で、勇太くんの下にいた。


「俺の気持ちも察して」

「え?」

「自分のお嫁さんが血管フェチで、腕の血管ばっかり好きって言ってくるの。んで、腕ばっかりずーっといやらしく触ってくるくせに、それ以上は何にもしてこないの」

予想外の勇太くんの訴えに、まずどんな言葉から返せばいいのかわからず「あ、えっとあの……」とあたふたする私を見て勇太くんはため息をついた。


「……ちょっと意地悪がすぎるんじゃない?奥サン」


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