皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
水抜きの中華粥
大陸の東方を治める彗明(すいめい)国は、五年前に香呂(こうろ)帝が皇帝となりすっかり様変わりしてしまった。

先代の皇帝――香呂帝の父、栄元(えいげん)帝は政に明るい皇帝として知られ、どちらかというと知能派。

さらに頭の切れる文官とともに彗明国を導き、周辺の他国ともよき関係を築いていた。

しかし栄元帝とその皇后の第二子として生を受けた香呂帝は、世継ぎと喜ばれた第一子が生後間もなく病で死したこともあってか、随分大切に育てられ贅沢三昧。

学問を嫌い、どちらかというと武闘派。

短絡的で気の赴くまま人を動かし、時には殺め……決してよい評判は聞こえてこない。

さらには、後宮に三千人近い妃賓や女官を従え、そちらに通いつめてはうつつを抜かしているありさまなのだとか。

肝心の政は、後宮で妃賓たちの世話をしている宦官の中の切れ者が裏で香呂帝を操っているという噂も立っている。

< 1 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop