皇帝の胃袋を掴んだら、寵妃に指名されました~後宮薬膳料理伝~
「毒見をしたんだぞ。なぜそれに感謝する」
たしかに、疑われたということではある。けれど……。
「玄峰さんは、劉伶さまのお優しい気持ちを踏みにじらないようにしてくださったんですよね。あそこで強引に私が食していれば、劉伶さまとの距離が離れた気がします」
信じると言われているのに、あの場で私が毒見をするということは、逆に私が劉伶さまの『信じる』という気持ちを信じていないことになる。
「珍しい考え方をするんだな。悪かった。だが、劉伶さまを逝かせるつもりはないんだ」
「わかっています。おふたりが劉伶さまを大切に思われていることは十分伝わってきますから。私も、劉伶さまの気持ちを踏みにじらないように努めさせていただきます。あっ、しばらく食事は劉伶さまの毒を抜くためのものが多くなりますが、お元気になられたら玄峰さんのお好きな物も作りますね」