お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
想像以上の大富豪。きっと毎日フルコースを食べているんだ、いやいや、家にお抱えのコックがいるに違いない、メイドや執事もたくさんいて、指をパチンと鳴らせば飛んでくるのだろう。

休日はゴルフ三昧、いや、もしかしたらクルーズかな? 大きな船の一隻二隻持っていて、下手したらヘリや自家用ジェットも……。

なんて、父とふたりで妄想しながら、庶民には想像もつかないセレブ生活に震え上がった。

父親からさんざん脅されて今この場に立っているわけだけれど。

……考えてみたら彼、誰にも疑われずにうちの会社に潜り込んで派遣社員を演じていた経験のある人だ。

平凡も、贅沢も、私がなにをよしとするかも、きちんと把握しているのだろう。

普段は贅沢をしているのかもしれないけれど、その気になれば合わせられる、柔軟な人なんじゃないか――と思いたい。

「ちょっと悩んだんだけどね。澪に最高の贅沢をさせて足を洗えないように躾てしまおうかって。でも逆に、澪はそういうの嫌がりそうだから、王道デートで直球勝負することにした」
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