お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「どこに行く予定なんですか?」

デートの行き先は、まだ教えてもらっていない。すべて彼に任せているのだが――。

「秋だし、そろそろ紅葉も見頃だから、もみじ狩りに行こうかと――」

「いいですねぇ」

「――思ったんだけど、この時期、ものすごく混んでるだろうから、行くならヘリかなって」

「ヘ、ヘリ!?」

いきなりのセレブ発言にあっけにとられてしまった。

デートでヘリまでチャーターしちゃうんですか? それとも、もしかして自家用ヘリ!? 実はあの実家の広い敷地内にヘリポートまであったりするんですか!? 

喉のあたりまで出かかった疑問をごくんと飲み込んで平静を保つ。

「渋滞は金と権力でどうにもならないからな」

「い、いいです! わざわざもみじ狩りのためにヘリなんて使わないでください!」

「上空から眺める紅葉も、素敵だとは思うよ」

「それは重々承知ですけどっ……! だいたい、今日は『王道デート』コースの予定じゃなかったんですか!? そっちは『最高の贅沢』コースですよね!?」

私の慌てる様子を彼は楽しげに眺めている。もしかしたら、困らせて遊んでいるだけなのかもしれない。
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