お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
第七章 君のおいしい唇を
水族館をあとにした私たちは、近くのカジュアルなイタリアンで夕食をとった。

人気のお店らしく外には行列が出来ていたけれど、オーナーが柊一朗さんのお知り合いだそうで、顔を見せただけで客席の奥にある個室に案内してもらえた。

大皿で頼んだサラダとパスタとピッツァをシェアしながら、私たちは談笑する。

「どう? 楽しかった?」

「ずるいなぁ、柊一朗さん。あんなにかわいいイルカちゃんたちをなでなでさせてもらって、楽しくなかったなんて言えるわけないじゃありませんか」

あのあと、私たちを案内してくれたスーツの男性――あの水族館の支配人なのだそうだが、彼のご厚意でイルカのプールに連れていってもらえたのだ。

餌やりを間近で見せてもらった上に、なでなでまでさせてもらえた。

イルカのおでこはぷるんぷるんと柔らかく、それでいて弾力もありキュート。あどけない双眸に見つめられて胸がきゅんと打ち震えた。

「澪のお許しも出たし、次のデートを考えておくね。まずはビールが飲めるところがいいなぁ」

昼間、お肉と一緒に飲めなかったことがよっぽど無念だったのか、彼は腕を組み、うーんと唸る。
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