お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「もうすぐ冬ですし、テラスでビールはまた来年ですね」

「いや、まだ秋、だいぶあるよ。もしかして、デートを流そうとしてない?」

「え? 次は新年会ですよね?」

「いや、忘年会が抜けてる。クリスマスも。というか、まだ十一月も頭なんだけれど、二カ月も会えないの?」

「柊一朗さん忙しいでしょうから」

「勝手に慮ってくれなくていいよ。来週会おう」

「デートのスパン、短すぎじゃありませんか?」

柊一朗さんは、口では焦ったふりをしているけれど表情はほんのり緩んでいる。

冷たくあしらわれながらも、私の嫌がり方が本気じゃないって気づいているんだ。

彼との会話が、心地いい。

食事がおいしかったからとか、イルカがかわいかったからとか、それだけじゃない。出会った直後から感じていた。

彼と一緒にすごす時間は幸せだ。

言いわけのしようもないほどに、私の心は、彼に魅了されている。
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